AIは便利だ。そんなのは言うまでもない。
英語の質問をすれば、ほとんど何でも答えてくれる。
英文添削もできるし、学習計画だって作れる。
英会話の練習相手にもなってくれる。
僕自身、AIを使わない日は多分ない。
だから、「AIより人間の方が優れている」と言うつもりは一切ない。
むしろ、知識量や情報処理の速さでは、
人間がAIに勝つのは難しくなっていくと思う。
それでも、僕の英語コーチングには、AIではカバーできない部分がある。
大きく3つあると思っている。
① AIには「意志」がない
AIは、
「あなたに絶対に目標を達成してほしい」
「今週はここまでやり切ってほしい」
「ここは妥協してほしくない」
と、本当の意味で思っているわけではない。
いつでも何でも相談に乗ってくれる。
優しい言葉もかけてくれる。
でも、どれだけ寄り添う言葉を返してくれても、
AI自身に「あなたを絶対に成功させたい」という意志があるわけではない。
あなたが「今日は勉強をしたくないかも」と言えば、
「休むことも大切です」
という返事がきっとくるだろう。
もちろん、休むべき日は絶対必要だと思う。
でも、人間のコーチは違う。
本人以上に、その人の目標達成を諦めない瞬間がある。
「なぜできたのか。なぜできなかったのか」
「これはできているけど、ここはこの理解が足りてない」
「そもそも、何のために今頑張ってるんだっけ」
「さすがに今日は休みましょう」
「ここは絶対やり切りましょう」
必要であれば、そこまで踏み込む。
もちろん、こういう言葉を建前で言うコーチもいるかもしれない。
でも、本気で受講生の目標達成を願えないのであれば、
僕はコーチという仕事を続ける意味はあまりないと思っている。
僕にとってコーチングとは、正しい勉強法を伝えるだけの仕事ではない。
というかそれには限界があると思っている。
「この人に絶対結果を出してほしい」という意志を持って、
その人の人生に関わる仕事だ。
② AIは「課題解決」は得意だが、「何を課題とするか」を決めるのは難しい
例えば、
「英語が全然話せません。どうすればいいですか?」
とAIに聞けば、かなり上手に答えてくれる。
「オンライン英会話をやりましょう」
「独り言英会話をやってみましょう」
「使えるフレーズを増やしましょう」
いくらでも方法は出てくる。
でも、本当の問題が「話す量が足りないこと」とは限らない。
実際には、
そもそも日常で使われる基礎単語が足りていない
日本語から英語に変換するスピードが遅い
知っている表現ばかりを使い続けている
リスニングが弱く、相手の英語を処理できていない
間違えることを恐れて話せなくなっている
そもそも何を話せばいいのか分からない
オンライン英会話をやっているだけで、復習をしていない
という可能性もある。
つまり、
「与えられた問題に答えること」と、
「本当に解くべき問題を見つけること」は違う。
もちろん、AIも課題の仮説を出すことはできる。
でも、人間のコーチは、
その人の表情、行動、過去の発言、生活、性格、毎週の変化まで見ながら、
「あなたの場合、問題はそこじゃないと思います」
と判断する。
そして、必要なら本人が求めていたものとは違う方向に軌道修正する。
僕はここに、コーチの大きな価値があると思っている。
目の前に出された課題を解決するだけではない。
本人もまだ気づいていない、本当に向き合うべき課題を見つける。
そして、その課題に一緒に向き合う。
これは、僕が英語コーチとして大切にしていることの一つだ。
③ AIには「関係性」がない
人が頑張れる理由は、正しい情報があるからだけではない。
「この人との約束だからやろう」
「やらなかったら次顔合わせるの気まずいな」
「また同じことを言われたくない」
「前回、自分でこう宣言した」
「次のセッションではちゃんと報告したい」
「期待に応えたい」
こういう感情も、人を動かす。
もしかすると、それを「プレッシャー」と感じる人もいるかもしれない。
でも、人はどうしても楽な方向へ流れやすい。
やらなくても誰にも何も言われない。
明日に回しても困る人はいない。
そんな環境で、自分一人で自分を律し続けるのは簡単ではない。
以前、僕が担当した大学生の受講生がいた。
受講後に話をしたとき、
「TOEICの結果が出たことも嬉しいけど、自分を律する力が身についたことが大きかった」
と何度も言ってくれた。
僕は、これもコーチングの大きな価値だと思っている。
AIは共感する言葉を返してくれる。
でも、
「この人との約束だから頑張ろう」と思わせる、人と人との関係性そのものは作れない。
知識を与えるだけではなく、人との関係によって行動を変える。
そこにも、人間のコーチが存在する意味がある。
AIか、人間か、ではない
僕はAIを否定したいわけではない。
むしろ、これから英語学習にAIを使わない理由は
ほとんどなくなっていくと思う。
分からないことを質問する。
英文を添削してもらう。
英会話を練習する。
学習方法のアイデアをもらう。
どんどん使えばいい。
でも、AIができることが増えれば増えるほど、
人間のコーチに求められるものも変わっていく。
知識を持っているだけでは、もう価値にはなりにくい。
僕が提供したいのは、
あなたに絶対に結果を出してほしいという意志。
本当に向き合うべき課題を見つけること。
そして、簡単には逃げられない、人と人との関係性。
AIにできることはAIに任せる。
そのうえで、人にしかできないことをやる。
僕は、これからの英語コーチングはそうなっていくと思っている。